過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群(IBS =irritable bowel syndrome)は、腹痛やお腹の不調と便秘や下痢などの排便異常が数ヶ月以上続き、大腸に腫瘍や炎症といった病変がない場合に疑われる病気です。男女比ではほんの少しですが女性の方が発症しやすいとされています。命に危険が及ぶ病気ではありませんが、悪化すると外出できなくなるケースもあって日常生活に大きな支障を及ぼします。病変がなく機能的な問題で起こっていると考えられるため、ローマⅢ基準より診断します。

IBSのメカニズム

小腸や大腸は、飲食物の消化吸収と、不要なものを便として排出する役割を担っています。一連のこうした役割を果たすために、消化管は内容物を肛門方面に移動させます。この移動は、腸の収縮運動によって行われており、腸の知覚機能が変化を感じ取って脳に伝え、脳と情報を交換することで収縮運動を制御しています。ストレスなどによって腸の収縮運動が不足や過剰を起こすと便秘や下痢といった便通異常が生じます。そして、痛みなどを感じやすくなる知覚過敏の状態になって、腹痛や腸の不調を強く感じるようになります。これがIBSの症状を起こすメカニズムです。知覚過敏があるため、IBSのある方は健康な人では特に症状を起こさない弱い刺激でも腹痛を起こすことがわかっています。

原因

発症に至るはっきりとした原因はわかっていませんが、細菌やウイルスによる感染性腸炎になって回復した後でIBSを発症するケースが多いことが知られています。これは炎症によって腸の機能が弱くなり、それに加えて腸内細菌叢が変化することで収縮運動が変化して知覚機能が過敏になるためではないかと考えられています。

診断

国際的な診断基準になっているローマⅢ基準を用いて判断します。

IBSの診断基準(ローマⅢ基準)

最近3ヶ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記のうち、2項目以上の特徴を示す

  1. 排便によって症状がやわらぐ
  2. 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
  3. 症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

治療

薬物療法

症状や体質、薬を服用できるタイミングなどにきめ細かく合わせた処方を行っています。漢方薬による治療が有効なケースもあります。同じ成分の薬剤でも効果の出方が違うものがありますし、最近は作用機序が異なる薬剤も登場しています。これまであまり効果が得られなかった方も、改善できるケースが増えていますので、ご相談ください。

食事療法

便秘だけでなく、下痢症状がある場合も食物繊維や水分の積極的な摂取は重要だとされていますし、乳酸菌製剤なども効果が見込める場合があるというのが一般的なイメージだと思います。
ただし、過敏性腸症候群の場合、その方の状態に合わない食物繊維があるなど、一般的に腸活として行われているケアが逆効果になっているケースも珍しくありません。食生活に気をつけているのに改善しない場合は、ご相談ください。専門医として適切な問診や検査で診断し、治療に加えて食生活の具体的なアドバイスも行っています。

運動療法

便秘の症状を起こしやすい場合、運動療法の効果が出やすい傾向があります。速足のウォーキング、水泳、ジムのトレーニングなど軽い有酸素運動を習慣的に行うようにすると効果を得やすくなります。

心理療法

ストレスが発症に大きく影響するため、心理的なアプローチが効果的なケースも存在します。

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